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第3回:根面う蝕

根面う触は、歯の根が露出している成人に見られるむし歯です。
 現在ではむし歯予防が進み、乳歯のむし歯の数は減少傾向にあります。その反面、永久歯、特に壮年期のむし歯の数は増えているという調査結果が、平成11年に報告されました。私たちの大切な歯を長く健康に守るためには、成人の永久歯におこる虫歯を防がなくてはなりません。永久歯の虫歯の中で問題にされているのがこの根面う蝕です。
 根面う蝕の歴史は縄文時代にさかのぼります。狩猟のみを行っていた段階ではほとんど虫歯は発生していませんでしたが、縄文人は土器を使い、食べ物を煮炊きしていたことから、デンプン質の粥が歯に付着して虫歯の原因になったと考えられています。この頃の虫歯は、かみ合わせや歯の溝からは起こらず、歯と歯肉との境目(根面)からの虫歯、根面う蝕がほとんどでした。虫歯がほとんど見られなかった時代でも根面う蝕は存在していたほど、歯の根は虫歯になりやすい部分だったことがわかります。

 

根面う蝕の原因
1、歯根の露出:本来、歯の根は、歯肉に覆われていますが、歯肉が減少しこの根の部分が露出することがあります。歯根の露出する原因は、歯周病によっておこる歯肉の炎症と、過度なブラッシングの刺激による磨きすぎ、あるいは異常なかみあわせによると考えられています。
2、酸を作る細菌(歯垢)の存在:歯根の周りについている細菌(歯垢)が砂糖や炭水化物などを利用して、酸を作り歯根を溶かします。
3、歯根は溶けやすい:歯根は歯冠(エナメル質)より、酸によって5倍溶けやすいため、虫歯も起こりやすくなります。
4、飲食回数の増加:飲んだり食べたりする回数が多い場合は、歯が溶ける機会も多くなります。また、1回の食事時間がダラダラと長い場合や、少量ずつちょこちょこ分けて食べることもう蝕の原因となります。
5、砂糖や炭水化物の摂取:細菌が酸を作るために必要なものです。砂糖だけでなく、せんべいやポテトチップも問題になります。またのど飴なども砂糖を含んでいます。
6、酸を中和する働きのある唾液が少なくなると虫歯は進みやすくなります。唾液が現症する原因は薬の副作用、唾液の出る管に病気がある場合等があります。


根面う蝕の特徴
虫歯の穴があいていなくても、根面う蝕が発生していることがあります。
再石灰化により、進行が停止している場合もあります。

根面う触のチェック項目
1.歯周病といわれたことがある
2.歯を良く磨く
3.以前から虫歯になりやすい
4.フッ素入り歯みがき粉を使用していない
5.甘いものが好き
6.コーヒー、紅茶に砂糖を入れる
7.のど飴をよくなめる
8.飲んだり食べたりする回数が1日5回以上
9.スポーツドリンクや栄養ドリンクをよく飲む
10.果物をよく食べる
11.最近口の中が渇きやすい
12.毎日飲んでいる薬がある

以上の項目にあてはまることが多い方は、根面う触に対して要注意です!
歯科医師、歯科衛生士にご相談ください。

 

        進行中の根面う触        進行が停止した根面う触
     色 : 黄色~黄褐色          茶色~黒色
     表面: 歯垢あり            歯垢なし
     状態: でこぼこザラザラ        滑らかツルツル